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2008年11月 アーカイブ

2008年11月02日

レイクサイド

レイクサイド 東野圭吾著
中学お受験合宿で湖畔の別荘に集まった4組の家族。

その内の一組の夫を別荘に訪ねてきた愛人が、夫が出かけた間に妻の部屋で殺される。
妻が「私が殺したのよ」と犯行を告白する。夫はすぐ警察に届けなければと言うのだが、別棟にいた子供たちに知れると、お受験に差し障るし、公になると何かと家族に不都合が生じるので、あとの3組の夫婦が完全犯罪として隠しとおすことを提案する。

どのように事件を完璧に隠蔽するのかなかなかミステリーに富んでいる。
この小説の面白いのは、登場人物の内面の描写がなく、外面的な言葉や行動からだけ読者は推理することになる。

事件の結末を、紹介出来ないけれど、殺人事件とは関係がなかったはずの子供たちも絡み、なかなか面白いものであった。

演劇化されれば面白そうと思ったら、2005年に「レイクサイド マダ-ケース」という題で映画化されたそうです。でも解説によると本に描かれたようには映像化出来なかったらしいです。

2008年11月06日

スメル男

「スメル男」 原田宗典 著
6月9日に、「蛙男」(清水義範著)という本を紹介しました。とても面白かったので、今回、書店で「スルメ男」というのを見つけ、「面白ろそ~!」と思って買い求めました。
・・・・
僕の肉体の異常は、告白しないかぎり誰にも気付かれない種類のものだ。・・
簡単に説明すると、ぼくは鼻が利かないのだ。何の匂いも感じない。嗅覚ゼロ。
・・・・・・
ふむふむ。なかなか面白い書き出しだわと、ぐんぐん読み進めました。
私も数年前アレルギー性鼻炎で、嗅覚が極端に鈍感になったことがあるので、主人公の苦しみも分かり読み進めていきました。
医者に行っても改善されません。
そうち今度は、誰もが耐えられない程の強烈な悪臭を自分が発散することが分かり、それから話が展開していくのです。
現実には起りえない、けれど起りうるなと思わせる、凄く奇抜な発想の展開でとても面白い。

ところで、、、いつまでたってもスルメが出てこない。
そして3分の2ぐらい読み進めているところで「あっ。スルメではなくスメルなんだ~!」と気付いた次第。

スルメは出てきませんが、ユーモアもあり怖~い本です。おススメです。

2008年11月19日

カミ-ユ・クローデル

カミ-ユ・クローデル 湯原かの子著
副題が、「極限の愛を生きて」という、カミ-ユ・クローデルの伝記である。
臨床心理学士でもある私の尊敬する友人が、何度も読んだというので興味を持って本を開いた。

カミ-ユ・クローデル(1864~1943)は、「考える人」を作った有名な彫刻家であるロダンの愛弟子であり、女性の彫刻家というのを世に認められていない時代の、天才的に才能のある美しい女流彫刻家であった。彼女の育った家庭環境には問題が多々あった。母は妹を溺愛しクローデルは嫌われ、父母の関係は悪く、弟だけが理解者であった。
ロダンは、クローデルの才能を高く評価し、二人はお互いに切磋琢磨し芸を高めていくが、愛しあう関係になるのは、当然の成り行きであろう。
しかし、その愛は歪であった。ロダンには、平凡な魅力があるとは言い難い妻がいて、彼は妻と別れる気は毛頭ない。かたや美人で才能もあるクローデルは、ロダンが妻と別れず、ロダンとの愛が成就しないのにいらだち、次第に精神のバランスを失っていき、ぼろぼろに壊れてゆく。
ロダンと決別したクローデルはたちまち生活苦に陥り、狂気の淵へ吸い込まれていく。ついには精神病院に入院させられ30年間。病院から出ることはなく、彼女の本心を誰からも理解されず79歳の命を終える。

極限の愛に生き、そして気が狂い破滅したクローデル。
その根源を、私は、師でありライバルであり愛人であるロダンにあると思うのだが、友人は、彼女の育った家庭に大きく根ざしていると見ておられるようだ。

現代、精神を病む人々が異常に多くなってきて話題になっているが、クローデルの行き様は、その根源を暗示するヒントを示しているようで、私もあと2~3回は読み直してみたいと思う。

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