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2008年10月 アーカイブ

2008年10月01日

聖家族のランチ 

聖家族のランチ 林真理子著
怖い話だった。
「極悪で残酷なことが出来るのは、男より女である」ということを聞いたことがあるが、そうかもしれない。

主人公の佐伯ユリ子は、人より抜きん出た美人だったが、庶民の育ちにコンプレックスがあり、セレブに憧れる女であった。そのため背が低く顔も悪いがエリート銀行マンの男と結婚する。ヨーロッパの海外赴任も体験し1男1女に恵まれ良妻賢母に徹し、子供たちを東大に何人も進学するエリート校と、超お嬢様女子校に入学させ、優越感に溢れる生活をしている。そのうち海外での体験を活かし、料理を教えることを始め、料理家としても名をあげ始める。

ところが晴れやかに世界を広げはじめたユリ子に反して、夫の銀行はバブルがはじけて大変で、お坊ちゃんの息子は新興宗教にはまり、娘はありきたりの進学はつまらないと大学進学を拒否したために彼氏に捨てられる。
そんなことに全く気が付かないユリ子は、料理の本を出版してくれるスマートな編集長と不倫の間柄になる。
ある日その男が家を訪ねてきた時に、母親の不倫に気付いた息子は、カッとして男を包丁で刺し殺してしまう。

思いもかけない出来事に、この家族は仰天し、それぞれが自分と家族を守るために、このことはなかったことにしようと、殺人事件を闇に葬ることにする。

そこで決めたことは、、、?
殺人現場は、料理教室も開ける各種包丁も揃った広い台所なので、ひとまず大型冷凍庫に死体を隠すことにする。ところが手足が邪魔なので、肉きり包丁で切断することにする。
そして毎日少しずつ・・・食べることにしたのである。
ユリ子は料理人なので、香辛料を効かせた豪華な料理を毎日工夫して作る。家族そろって毎日食卓を囲む。

ああ。怖い!
ああ。気持ち悪~ぃ!
最後、どうしても頭部を料理することが出来ず、家族みんなで捨てにいく。
結末は読者の想像にまかせる終わり方で、私にとっては、当然後味悪く未消化で終る。

あまり紹介したくない本だけれど、気持ち悪さと女の怖さを知ってもらい、恐怖を分かち合いたいと思って本棚に収めました。

2008年10月16日

ぱリのおばあさんの物語

パリのおばあさんの物語  スージー・モルゲンステルヌ著 セルジュ・ブロック絵 岸恵子訳
友人が、「読んで、感想を聞かせて」と言って、この本を置いていった。
この歳になると、<生→老→病→死>に至る人間の一生について、友達仲間で、話し合うことが多くなってきた。
このパリのおばあさんの日常は、将来、私が想像する自分のおばあさんの姿そのままだから、友人が本を渡しながら、ニヤリと笑っていた訳がわかった。
・・・・・・・
   おばあさんは小さなアパルトマンに独り暮らしです。
   おじいさんに先立たれてひとりぼっち。
   子供はいるけど一人ぼっち。

   昔はずいぶんたくさん本を読んだのよ。
   でも もう駄目。眼がとても疲れるの
   縫い物にも刺繍にも精を出したものだわ。
   でも もう気力はありません。

   おばあさんは、薬を飲むのを忘れます。
   記憶が薄れるだけでなく、物忘れがひどいのです。
   だから、お誕生日だっておぼえてないの。
   でも、雪が降ったことは覚えてる、、。
・・・・・・・・・
おばあさんは、そんな生活を悲しんではいません。淡々と受け入れて楽しんでさえいます。悲惨なところは微塵もありません。
私もそんなようになる予感はあるけれど、そうあらまほしいと思うけれど、パリのおばあさんのようになり得ないだろう所が一ヶ所あります。

・・・・・・
   おばあさんは鏡をのぞきます。
   「なんて美しいの」とつぶやきます。
   顔はたくさんの歴史を物語っているのですもの。
   眼の周りには楽しく笑い興じたしわ。
   口の周りには歯をくいしばって悲しみに耐えた無数のしわ。
   しわ、しわ、しわ、いとおしいしわ。
・・・・・
ここまで老いを受け入れられればどんなに幸せかなと思うけれど、、、。
顔に表れるしわが、美しいと思えるしわになるには、精一杯生きて、悔いのない生活を営むことが必須条件だろうし、それが私にはまだまだ足りないなあと、顔に乳液を延ばしながら思わされたのでした。


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