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2008年06月 アーカイブ

2008年06月04日

受験のシンデレラ

「受験のシンデレラ」 和田秀樹 著 小学館文庫
主人公の卒業した学校が、ウチの近所にある全国1の東大進学校「灘校」で、映画化もされ話題になっているこの本を友だちが面白かったというので読んでみた。

主人公五十嵐は灘校から現役東大の医学部に進学したのだが医者にはならずに東大進学塾を立ち上げ「受験界のカリスマ」と呼ばれ莫大な富も名声も手にしていた。しかし親友の医師からガンで余命1年半と宣告を受ける。
そんな時高校を中退し学力もなく荒んだ生活をしている少女に偶然出会うことになり、残りの人生で彼のあらゆるテクニックを駆使して彼女を東京大学に合格させようと決心する。
そして2年。見事少女を東大合格に導き命を終える。

この本は、プロ野球選手を目指す「巨人の星」のような根性物、又は究極のゴルフ上達方法というようなハウツーものと同列のものだと思った。

この本では目指すものがプロのスポーツ選手ではなく東大合格であるのですが、目的達成の為ののめり込みようや技の取得方法はスポーツのトレーニングも受験勉強も同じなんですね。
東大を目指し進学校(塾)で勉強勉強に明け暮れるのと、プロサッカー選手を目指しスポーツ推進校とかでサッカーに明け暮れて過ごすのとなんら変わりがないんだと気付かされた。

孫にはプロの選手になるより楽しくスポーツをさせたいと思うし、東大でなくても身の丈に合った大学が良いと思うし、それは世間一般の人の考えと思うのですが、この本がベストセラーになった理由は何なんでしょうか?

目的達成の過程で学ぶべき精神的葛藤のようなものもありますが、目的が私にはあまり縁がないので役に立たない本でした。

2008年06月09日

蛙男

「蛙男」  清水義範 著  幻冬舎
清水義範さんのファンです。

彼の小説は、普段見落とされがちなもの無視されるもの不運な人のこと等に焦点をあてて、読者を驚かせ楽しませるところが面白いのです。

この「蛙男」も私にはけっして思いもつかない発想で驚かされた。
私に見えているものは他人も同じように見えているとどうやって証明できる?
自分に見えるのに他人には見えないものがあるかもしれないと思いませんか?

主人公の滝井道典はある日鏡に映った自分の顔色が悪いのに気付く。
疲れがたまったかなと放っておくうちある日自分の手が緑色になり蛙の手のように変わってしまうのに気付く。
ずっとではない。時々である。
その後その変化が体中に広がるのだけれど他人からみれば何の変化もないらしい。
それがどんどんエスカレートしていって、、、。
という話です。結末は?怖い、、。

「現実に起こりうるわ」と思わされ引き込まれるのだけれど、やっぱり現実的には起こらないだろうと「ふ~っ!」と息をつかせるすごく面白いお話です。

2008年06月26日

走ることについて語るときに僕のかたること

「走ることについて語るときに僕のかたること」村上春樹著 文芸春秋社
村上春樹氏の作風から天才的(物語が身体から湧き出るように出るのを文章にまとめていく)作家かと思っていたのだけれど、彼のエッセイなどを読むと小説家という職業人であるらしいことが分かってきた。

彼が小説家になろうと決心された時からずっとマラソンを続けてこられたとはこの本を読むまで知らなかった。
この本は<小説を書く>という頭をハードに使う仕事の癒しのためにマラソンを続けてこられた記録である。

疲れを癒すには、身体をリラックスさせて休息するのが一番と思っていたが、仕事と違うジャンルのものに没頭することも疲れをとる手段なんだと納得させられた。

マラソンのようなハードな趣味に没頭させるほど小説を書くことは彼にとってハードな仕事なのだとも思わされて妙に感心させられてしまった本でした。


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